買う前にチェック!2026新作UV、本当に選ぶべきはどれ?:ドラコス編(1)
今年も春夏の日焼け止めシーズンが本格的に始まった。
ということで本レターでは、ドラコス&デパコスの新作UVを成分や処方の特徴、使用感などの観点から比較し、ランキング形式で順次紹介していく。各カテゴリーのランキングを発表した後、最後にそれらをまとめた「ベスト・オブ・2025日焼け止め:春夏」も決定!今回はそのドラコス編。
選考ではSPF・PA値やフィルター構成、処方設計、使用感などを総合的に見ているが、最終的な順位には筆者の使用感の好みも反映されている。今年の新作はどれも優秀だが、「全部買うべきか?」と言われるとまた別の話。肌質やライフスタイル、求める機能によって、必要な一本は変わる。それぞれの特徴を踏まえつつ、自分にとって本当に必要な一本を見極めるための参考として読んでもらえたら嬉しい。
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9位
キュレル 潤浸保湿 スキンリペアUVセラム
キュレルのUVアイテムは実はかなり多い。体感では9〜10種ほどあり、ラインとしては充実している部類に入る。しかし、その多くは「セラミドケア」「敏感肌でも使える」というやさしさ設計を軸に展開されてきた。もちろんそれはブランドの根幹であり強みであるが、近年のUV市場の進化と並べて見ると、やや守りの姿勢に映っていたのも事実である。
ここ数年の日焼け止めは、明らかに「膜の高度化」へと進化している。塗膜を厚くし紫外線防御力を最大化する設計、ヨレや隙間を自動修復するオート機能、汗や摩擦に対する耐久性強化など、機能競争は加速するばかり。その流れの中では「肌にやさしい」という価値だけではやや弱い、というのがこれまでのキュレルの印象だった。
その空気を変えたのが、昨年登場し、以前配信した新作ランキングのプチプラ編でも3位として発表した「スキンプロテクト膜技術搭載UV」である。
潤浸保湿 ファンデ負担防止ベース
アクリル系ポリマーとシリコーン、油性成分の相乗効果によって、ファンデーションとの密着性を高めつつ肌負担を軽減するという設計思想は、従来の「守るUV」とは明確に一線を画す。単に紫外線を防ぐのではなく、メイク時の摩擦や圧をどう軽減するかという視点が非常に新しく、この時点でキュレルのUVはやさしさ止まりから一段階進んだと感じた。
そして今回のスキンリペアUVセラムである「塗るたびに日やけしにくい肌へ導く」という打ち出しは、さらに方向性が異なる。膜を強くするのではなく、肌状態そのものを整えるという発想。というのも、乾燥性敏感肌はバリア機能が不安定で、紫外線の影響を受けやすい。ならば防御を厚くする前に、まず紫外線ダメージを受けにくい土台を整える。これは防御力そのものを競う発想とは別軸のアプローチであり、ブランドの文脈にも整合している。
市場全体が「強さ」を競う中で、キュレルは「受けにくさ」という構造的な方向へ舵を切った。その設計が本当に結果に結びつくかは実使用で見極める必要があるが、少なくとも思想としては一段深くなった印象である。やさしさだけのブランドという先入観は、今回で更新される可能性がある。発売前から大期待、ということもあってついに購入。大まかなスペックは下記にピックアップ。
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キュレルには珍しい酸化亜鉛フリー
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ノンケミカルでSPF50・PA+++
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60g-¥ 2,200
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弱酸性・無香料・無着色
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アルコールフリー
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アレルギーテスト済み
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乾燥性敏感肌の方の協力によるパッチテスト済み
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ノンコメドジェニックテスト済み
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石鹸で落とせる
UVカット成分の特徴
乾燥性敏感肌ブランドという位置付けらしく、UVカット成分は酸化チタン一択のノンケミカル処方。皮膚科学的には刺激性においては合理的な判断であるが、もう少し視野を広げると、紫外線防御というテーマは単純な「刺激の有無」だけでは語れない。
まず、酸化チタン単独処方は確かに吸収剤による接触刺激や光安定性の問題を回避できる。一方で、波長カバーという観点では、特にロングUVAやDeep紫外線と呼ばれる領域(UVAⅠ:340〜400nm)への対応は限定的になりやすい。これらは真皮深層に到達し、シワ・たるみの原因となる光老化や慢性的な色調変化に大きく関与する領域である。この波長帯まで十分に意識するなら、酸化亜鉛の併用やUVA特化型吸収剤の導入という選択肢も理論上は存在する。
つまり、刺激回避を最優先するか、波長カバーの最大化を優先するかという設計思想の問題。
ただし、この製品は防御力競争に参加しているわけではない。バリア機能が不安定な乾燥性敏感肌にとっては、強い紫外線カット成分よりも、均一な塗膜形成と角層コンディションの安定が重要になる場合がある。塗膜がムラになれば、理論上の高スペックも実効防御にはならない。ここでセラムカプセル化や分散安定技術が意味を持つ。
したがって、この処方はロングUVAまで徹底的に防ぐ攻めのUVではなく、刺激リスクを抑えながら日常紫外線を安定して防ぐ守りの合理設計と位置付けるのが妥当。
より広い視野で見れば、これはスペックの問題というより、誰のための防御かというターゲティングの問題。つまり、強烈な屋外レジャー用途よりは低刺激を重視する、敏感肌層の日常紫外線対策向きとして位置付けるのが妥当な紫外線防御設計であるといえる。
美容成分・スキンケア効果
本製品のスキンケア効果を語るうえで重要なのは、攻めの美容成分を多層配合した処方ではない、という点。美白有効成分を配合し、積極的な機能訴求を前面に出すアイテムとは明確に方向性が異なる。設計思想はあくまで「日中のバリア安定」。
ベースはBGやプロパンジオールによる保水設計。その上に軽質エモリエントを重ね、水分蒸散を抑える。ここまでは日中用保湿処方としては標準的。
中核となるのはキュレルの象徴的成分:セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド、いわゆるセラミド機能成分である。これは角層ラメラ構造を補助する擬似セラミドであり、乾燥性敏感肌のバリア低下に対する土台の補強を担う。単なる植物エキスと思いがちなユーカリ葉エキスは、主に肌の潤いバリア機能(セラミド)の産生を促進し、乾燥を防ぐ保湿成分として機能する。
花王
加えて、この処方の独自性を補強しているのがセラムカプセル構造。この技術はおそらく花王が2024年に発表した研究がベースになっている(1)。紫外線散乱剤をカプセルに内包し、水系ベースの中に安定分散させることで、肌の凹凸にもなじみやすく隙間の少ない均一なUV塗膜を形成する設計に。散乱剤が肌上で密に積み重なることで紫外線防御効率を高めつつ、粉体の凝集を抑えることで白浮きの軽減にも寄与。
花王
結果として得られるスキンケア効果は、「劇的な改善」ではない。乾燥、摩擦、紫外線によるバリア低下を積み重ねないための設計である。派手さはないが、バリアが不安定な敏感肌は紫外線の影響を受けやすいという前提に立てば、まず土台を安定させることが合理的。
その意味で「塗るたび日やけしにくい肌に」というコピーは、防御力が段階的に上がるという意味ではなく、バリアが整うことで紫外線ダメージを受けにくい状態へ近づけるという文脈で回収される。
総じて、この製品のスキンケア効果は攻めではなくマイナスをゼロに戻す地道な作業。しかし乾燥性敏感肌にとっては、その土台こそが最も現実的なエイジングケアであるとも言える。
総評&9位に選んだ理由
処方設計という観点では完成度は非常に高い。乾燥性敏感肌という明確なターゲットに対し、酸化チタン単独のノンケミカル設計、セラミド機能成分によるバリア補強、さらにセラムカプセルという分散構造まで組み込んだ思想は、ブランドとしての一貫性も感じられる。
一方で、実際の使用感はやや印象が異なる。セラムUVと聞いて想像するほどのみずみずしさは強くはない。手の甲ではなめらかに広がり重さも感じないが、立体的な顔にのせるとスキンケアの相性によっては少しだけ伸ばしにくさを感じる場面があった。酸化チタン単独設計という特性上ある程度は想定内ではあるが、白浮きは完全には避けられず。丁寧に馴染ませるがきれいに仕上がるが、塗布に少し気を遣うタイプである。
とはいえ、使用感が悪いというわけではない。敏感肌向けとしての安心感や安定感は十分にあり、ノンケミカル処方としてはむしろ良い方である。刺激リスクを抑えながらここまでのUV防御力を確保している点は評価できる。 ただ、これから紹介する他のUVと比べると、伸びや仕上がりの軽やかさという点ではやや差を感じた、というのが率直な印象。とはいえ、この製品はそもそも快適さを追求したUVというより、乾燥性敏感肌のバリア維持を優先した設計である。その点を踏まえれば、この仕上がりも十分に納得できる範囲と言えるだろう。
こんな人におすすめ
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乾燥しやすく、日中のバリア低下が気になる敏感肌の人
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ノンケミカル処方で、できるだけ刺激リスクを抑えたい人
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強いレジャー用UVよりも、日常紫外線対策を重視したい人
向かない可能性のある人
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海や炎天下レジャー用のとにかく焼かないUVを探している人
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軽い使用感・透明度の高い仕上がりを最優先する人
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服につかない日焼け止めを探している人
単に「守る」だけでなく、「整えながら防ぐ」という設計を形にしたUVである。 日常紫外線とバリアの関係に本気で向き合った一本である。