発酵コスメって結局なんなん?必要・不必要の見極め方

発酵コスメが、何やら良いらしい。
なんか、ビタミンとかミネラルとかがたくさん含まれてて、すごい肌にいいらしい。
というのはわかっているのだけど、発酵コスメに入っているどんな成分が良くて、どんなメカニズムで肌に作用して、結局のところ私たちの肌に一体何をもたらしてくれるのか。どんな素晴らしい肌状態へと導いてくれるのか。そしてそれは私にも当てはまることなのか。
ただそれを知りたいのだけれど、説明を追うほど「何十種類、何百種類といった様々な成分が含まれている」という大きな括りに戻される。結局何に効くのか。はっきりした答えが出てこないのが発酵コスメの難点でもある。
先日、長らく続く謎の鼻炎で耳鼻科に通い、薬をただもらい続けるという行動に嫌気が差した。私が求めているのは抑える薬ではなく、原因と根本解決。という想いから方向性を変え、漢方薬局を尋ねることとした。漢方は対処のみならず体質から改善できます、続ければ良くなるでしょう、でも確実に効くとはわかりません、体質によります。漢方薬の中身は、様々な生薬で出来ております。その配分で効く効かないがあります、どれが効くというよりも全体的な処方バランスです。西洋のお薬のように数値でぱっとお示しできるものではなくて、昔から長く使われ続けてきた実績なんです。でも合う人はコロッと治ったりします。という話を聞いて、やっぱり私はエビデンス重視派であり、よく分からないものにお金は割きたくないなあ、やっぱり西洋医学だわと思ったのです。そして思いました。発酵コスメもこの類いと似通う部分があることを。
発酵コスメの実態と期待値
そもそも、発酵コスメとは何なのか。
ざっくり言えば、微生物の働きを利用して作った発酵液や培養液、菌体由来の成分などを配合した化粧品のこと。米や豆乳を発酵させたものもあれば、酵母や乳酸菌などを培養して得られるものもある。ひと口に発酵と言っても、出発点からして随分と違う。
発酵コスメ、まずこの括りが問題。スケールが大きすぎて発酵コスメ単一で肌にとってどんな良いことがあるかどうかが数行で語りきれないのが問題だ。だから、全体を通して簡潔に結論を出そうとなると、なんとなく良いっぽい、という抽象的な説明に落ち着いてしまう。まずは代表的な発酵コスメを挙げて、エビデンスも踏まえ、その実態を紐解いていく。
SK-II フェイシャル トリートメント エッセンス

sk2
発酵コスメの代表格。目玉成分は、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類など50種類以上の成分を含むガラクトミセス培養液である。同じガラクトミセス培養液を掲げる製品は、韓国コスメなど安価なものにもある。だが、発酵に使う酵母の種類は千差万別で、中身は別物。SK-IIは350種以上の酵母の中から、肌に特に良い働きをもたらす株を選び抜いたとされる。
エビデンス
培養したヒトの皮膚細胞を使った研究では、ガラクトミセス培養液が、肌のバリアを支える「フィラグリン」などのタンパク質の発現を高めることが示されている。フィラグリンは、分解されると肌の中で水分を抱える天然保湿因子の材料にもなるもの。つまり、外からうるおいを足すだけでなく、肌自身がうるおいを保つ仕組みに関わる可能性(1)。
さらに、2022年の論文では、ガラクトミセス培養液によって、炎症を抑える働きを持つ「インターロイキン-37」の産生が増えることや、老化した細胞で発現が高まりやすい「CDKN2A」という遺伝子の発現が低下することなどが紹介されている。抗酸化に関わる仕組みへの作用も含め、慢性的な炎症と老化が関係する「炎症老化」への可能性(2)。
アルビオン フローラドリップ s

アルビオン
こちらの核は、5種類の植物を、麹菌の一種である純白麹「しらかみ」で発酵させた独自成分「ミュラ」。麹菌とは、味噌や日本酒作りにも利用される微生物の仲間。使われる植物は、ヤマヨモギ、カワラヨモギ、ヤグルマギク、メリッサ、タチジャコウソウ。つまり、酵母から得られるピテラに対し、こちらは複数の植物を麹菌で発酵させた、植物発酵液である。
エビデンス
アルビオン・丸善製薬・秋田今野商店の共同特許では、ヤグルマギク発酵液の細胞試験で、シミのもととなるメラニンの産生を抑える作用や、肌のバリアを支えるタンパク質「フィラグリン」の遺伝子発現を高める作用が確認されている(3)。
ONE BY KOSÉセラム ヴェール

kose
SK-IIやアルビオンは、独自の発酵液をベースに据えているのが特徴だが、こちらは発酵由来の成分を、効能が認められた「有効成分」として処方に組み込むタイプ。
代表的な「ライスパワーNo.11」は米から得たエキスに麹菌・酵母・乳酸菌などを働かせ、約90日間、発酵・熟成させて作られる。これがセラミドの産生を促し、肌が水分を保つ力を改善。「発酵だから何となく良さそう」ではなく、「皮膚の水分保持能の改善」という、何をしてくれるかが明確な効能を持つ。 発酵コスメの中でも、期待の置き場所が分かりやすい存在。
エビデンス
15名の前腕に1日2回塗布したところ、2週間後・4週間後のいずれも、プラセボと比べて皮膚の水分保持能が有意に上昇。 肌から逃げる水分量も、徐々に減少する傾向が見られた。
さらに、10名を対象に人工的に肌を荒らした条件で調べた試験では、1週間使用した部位のセラミド量が、プラセボを使った部位の約1.4倍になったと報告されている(4)。
FAS ザ ブラックエッセンス

fas
こちらの主役は、京都・京丹後産の黒米を二段階で発酵させた「黒米発酵液」。この化粧水は、SK-IIやアルビオンと同じく、独自の発酵液をベースに据えたタイプ。特徴は、原料に白米ではなく黒米を選んだこと。そして、発酵条件を調整することで、ペプチドやアミノ酸、ポリフェノールなど、738種の成分を含む発酵液を作り出すことに成功。
エビデンス
FASも、成分数の多さだけを語っているわけではない。独自の黒米発酵由来原料について、自社の研究サイトで具体的な試験結果を公開している。
例えば、乾燥に対しては、うるおいを抱えるヒアルロン酸の産生促進や、肌のバリアに関わる遺伝子の発現促進。肌あれに対しては、炎症に関わる物質の産生を約64%抑制。ハリ不足に対しては、肌の弾力を支えるエラスチンを分解する酵素の働きを抑える結果が報告されている(5)。
ただし、今回確認できたのは自社公開の研究データ。SK-IIの査読論文や、アルビオンら複数社による共同特許のように試験方法まで詳しく追える資料と比べると、外から検討できる情報は限られる。
なめらか本舗

発酵コスメは、高級化粧水だけの世界ではない。ドラッグストアでお馴染みのなめらか本舗も、豆乳を発酵させた「豆乳発酵液」を使っている。2026年に刷新された保湿ラインでは、69種類の国産大豆を研究し、北海道産大豆「音更大袖」を採用。発酵方法も見直し、イソフラボンを豊富に含む豆乳発酵液を開発。
SK-IIやアルビオンのように発酵液をベースに据えるというより、保湿成分として処方に組み込むタイプ。「豆乳でしっとり」という親しみやすい顔をしているが、原料の大豆から選び直している辺り、なかなか地道だ。
エビデンス
ノエビアグループの基礎研究では、新しい豆乳由来発酵液が、肌の免疫に関わる「ランゲルハンス細胞」に似た細胞の増殖を促進。さらに、過剰な炎症を抑える「制御型」への変化を示す遺伝子の発現が増え、免疫応答を促す側の指標は減少した(6)。研究成果の一部は、日本薬学会第146年会で発表されている。
つまり、単に免疫を強めるのではなく、過剰な炎症を抑える方向へ働きかける結果が、細胞試験で示されている。
そしてここからが、発酵コスメを優先すべき人・見送っても良い人の棲み分け方についての回。
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